長時間残業という役所エリートのプライドと疲弊
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
最近、市役所の近くを横切ると県庁はやっぱり電気がついていて、変わらないなぁと思いました。正月も何も変わらず頑張っていらっしゃるなぁと、今回はそんな公務員の残業事情について書こうと思います。
そもそも定時では帰れない
勘違いしている人も多いのですが、役所で定時で帰れる部署って限られています。なのに、すべて定時で帰れて、役所はいいなぁと思っている方もいますが、そんなことはありません。
確かにかつては、職員数が今の1,5倍ぐらいいて暇そうな職員がいたそうで、ゆとりがあったようです。それがバブル崩壊と臨調から始まる行革の流れと、小泉政権の三位一体改革によって交付税が減らされ、職員数がかなり減らされました。
職員数が減ったからといって、仕事量は減るわけでもなく、むしろ高齢化によって役所のユーザー層が増えるので、業務は拡大傾向にあり、団塊世代の一斉退職によってさらに業務は増えるでしょう。特に国保、年金といった福祉分野はもちろんのこと、少子化によって何とか地域活性化、産業振興を図りたい、商工、観光部門は今後仕事は増えるでしょう。
地方創生というのは、予算もつけるからその分仕事やれよ、という国のメッセージなのですが、だったら人件費にも予算つけろよ、と思いますが、そこは外部委託やアウトソーシングなど、いわゆる「コスト意識」をもった取り組みが必要であり、逆に職員定数減が、交付税の算定基準の一つに設けられたことで、さらに職員数は減っている傾向にあります。
眠らない県庁、消えない財政課の灯り
よく県庁の人は仕事できて、市役所はそんなに。。。というイメージがありますが、実際そうだと思います。仕事ができるというのも、市役所に比べて大卒、それも難関私立大学、国公立大学(駅弁を除く)といった高学歴の方がゴロゴロいるということです。
それに県庁は、霞が関への出向もあり後述しますが、長時間残業でいえば、「日本トップクラスのブラック企業」の経験もあるので、大学受験で培った事務処理能力と長時間残業にも耐えうるタフネスを持っているので、仕事ができる、というわけです。
では、市役所を見てみると、市役所は財政課を中心に総務系の市長に近い部署は相当な残業をしています。財政当局でいえば、一人で一部局をいくつも担当して、査定をするわけですから当然ですね。なので、財政課にいけば、家が建つという都市伝説もあるぐらいです。
首長がそもそもブラック
これは、別に橋下市長だけのことを指しているわけではありませんが、要は今の知事は霞が関出身者が多く、長時間労働が当たり前と思っているわけなんですね。なので、そんな長時間労働はやって当たり前、国を見ろ、民間を見ろ、というトップがその姿勢なので無理な話です。
そもそも、総務省や厚生労働省のような霞が関が「ワークライフバランス」を掲げるのですから、矛盾しているわけですね。
出世したければ帰るな
残業が減らない要因としては、職員数減、トップの姿勢のほかにも、役所内の人事における評価軸が長時間残業を厭わないかどうか、ではないでしょうか。そもそも、役所の出世コースというと、総務系であることは有名な話ですが、民間で総務系というと、コスト部門であるという認識です。それは、成果が見えてこない部門であることがあると思います。
そのような部門で挙げる成果というと、問題を起こさない、問題があってもすぐリカバリーできるということはもちろん、それ以上に長時間残業しても潰れないということではないでしょうか。
現に幹部クラスの口ぐせは「俺はもっと残業していた。」なので、ハードワーカーはやっぱり評価が高くなる傾向があるようです。まあ、人事も人間なので、夜遅くまで残っていると、「頑張っているな、苦労しているな、何とか良い身分に持ち上げてやろう」と思うわけですね。「いつまでだらだら仕事してるんだ、早く帰れ」とはならないわけです。
給与が部長を凌ぐ残業主任
かつて、埼玉県職員が時間外手当で700万円以上受け取り、残業時間が最長2000時間を上回っている事例がありました。こんなことはふつうはありえませんし、本来ならば上司なり人事が止めるべきですので、本人だけが責められる問題はないと思います。
しかし、民間からいうと残業代がそんなに出ること自体が異常なんですね。なので、民間出身者、それもブラック企業でバリバリのハードワーカーの方であれば、いくらでも時間外勤務を厭わない人もいるんですね。
なので、平職員最高の主任クラスは残業をすればするほど儲かるわけです。給与水準は係長級とほぼ変わりませんし、課長補佐以上は管理職手当があるかわり、何時間やっても残業代がでないわけです。なので、係長級以上ほどの責任が問われず、給与が高い主任クラスの「生涯一主任」に憧れる職員も一定数いるわけですね。