ふるさと納税でふるさとは消え、消費者だけが残った
ふるさと納税がブームになっているようで、NHKのクローズアップ現代でも特集を組まれていましたね。
ふるさと納税 ブームが問うものは - NHK クローズアップ現代
確かに一般の消費者の方からすれば、ふるさと納税は魅力的だし、どんどんこれから増えていくでしょうが、地方公務員の立場からしたら複雑だったりします。ということで、ビール片手に書いてみたいと思います。
ふるさと納税って何?という話から
ふるさと納税という制度は、寄付金控除の一種なのですが、違いがその控除額です。NPOといった団体への寄付金控除もあるのですが、自治体への寄付金控除というのは、非常に有利なわけです。たとえば、1万円寄付した場合、8千円が還付されるので、8割はキャッシュバックされるわけです。でも、あれ、2000円損してるじゃん、と思うかもしれませんが、いえいえ、自治体が2000円以上の商品を用意しているわけですね。それこそ、2000円を大きく上回るお肉やらお米やら・・・
ということで、ふるさと納税は結果として自治体の商品も含められばお得なわけなので、「ファイナンシャルリテラシー」の高い主婦を中心に広がっているわけですね。
公務員もふるさと納税しているという事実・・・
公務員なので、当然このふるさと納税制度については、以前から評判だったのですが、当然庁内的には他の自治体にふるさと納税することはNGですわね。とはいえ、公務員とはいえ、一人の消費者の視点になれば、お得な自治体に寄付しているわけですね。その是非はともかくとして、自分の役所へのリスペクトは無いのかよ。。。という話ですが。
ちなみに、私の自治体のふるさと納税もまぁまぁ人気なのですよ。。。
ふるさと納税の問題点を今一度まとめる
ふるさと納税の問題点は、先ほどのクローズアップ現代でまとめられていましたが、要は、ふるさと納税でウハウハな自治体もあれば、ふるさと納税で税収がガタッと下がる自治体もあるわけですね。つまり、自治体間格差が広がるわけだと。
なので、ウハウハ自治体であれば、その税収を使って、保育料無料化や、国保を下げたり、はたまたインフラ整備ができるわけですが、その逆の自治体は、それなりになるわけですね。
ふるさと納税の導入で、地方VS地方の時代へ
歳入の争いといえば、地方VS中央(東京)という形ですが、ふるさと納税の始まりによっては、地方と地方が税収を争うわけですね。確かに地方間競争をもたらすという点では活性化に貢献する面もあると思いますが、なんとなく、国の思惑にまんまとはまっているような気がします。
要は、足らん税収は国に求めるんじゃなくて、他の自治体から持って来いというわけなんですね。なので、地方どうしが税収を取り合ってくれるほうが都合がいいわけですよね。の競争というものが、何か新しい価値を生み出すという面よりも、むしろ、入ってくるはずだった税収が失われるという負の側面の方がやっぱり大きいような気がするわけです。
便益のみを求める世論
過疎地域、商店街、公共交通など、地域を支えてきている公益的にも重要な資源は、今後減っていくでしょう。競争原理からいえば、過疎地域よりもコンパクトシティの推進だし、商店街よりもイオンだし、やっぱり費用対効果をみても見合わないわけですよね。
ふるさと納税に理念や政策への共感というよりも、どれだけお得か、という便益を求めてしまうのは、仕方がないと思いますが、それって、結局、国家間の法人税下げ競争と一緒なわけですよね。結局ふるさと納税の現在行われている競争というものは、いかにお得な特典にするか、いかに豪華なものにするか、ということで争っているわけですね。
ふるさと納税という名前で、非常にノスタルジックな感じもしますが、本質は自治体間の不毛な競争を加速させて、結局、豪華な特典が用意できない自治体が淘汰されていく非常に新自由主義的な政策だなぁと思いました。